2014年10月28日 カテゴリー:日記 コメント:コメント:0
大好きな赤瀬川さん。
赤瀬川原平さん。
亡くなってしまいました。
10月26日。
赤瀬川さんは私の人生を変えてくれた人でした。
赤瀬川さんの本と出会ったのは高校生のとき。なんかの授業で必要になったのか、図書室に本を借りに行きました。
その頃私は町の風景に凝っていて、自分で絵にするためによくインスタントカメラを携えて町の風景を撮影しに行くのが習慣でした。
そんなだったので確か作品の参考にしようと写真集を借りに行ったのです。その時出会ったのが「香港頭上観察」でした。
パラパラッと本をめくり、なんとなく写真のたたずまいに惹かれその本を借りました。
教室の休み時間にまたパラパラめくり、写真の風景の向こうの世界を想像し、世界を旅行した気分に浸っておりました。
赤瀬川さんの目線と写真に添えられた短い文がまた格別の楽しさを醸し出していて。
「あ。なんかこの本好きだ。」
と、私はそう思いました。
返却期限が来てその本を返しに行きましたが、その本がまた本棚に並んだところを見たらまた借りて。その繰り返し。
一時期私の机には必ず赤瀬川さんの本がありました。
その本は当時高校生だった私には高くて買えませんでしたが(といっても3000円くらいですが。)いつか買ってやる!と思ってました。
そしてさらに強烈な出会いがありました。
その本を借りてしばらくして、高校の美術の先生が面白い本を持っているとウワサになりました。
「なになに?どんな本?」
「これだよこれ!」
そういって見せられたのが、赤瀬川さんの「新解さんの謎」でした。
あ。同じ人だ。
この人写真だけじゃなくて文も書いてるんだ。
あー、せっかくだから借りようかなあ。
じゃあ次私…。
そうして借りた新解さんが、私の価値観を粉砕したのです。
なんだこれ。
なんでもないと思ってた日常にこんな面白いもんが眠っていたのか?!
こんなもんがゴロゴロその辺に転がってんのか!
こんなに日常生活って見方を変えれば面白いのか!
当時私は今よりもよりファンタジーな世界観で物語を描いておりました。
日常生活なんてつまらないと思ってたのです。
戦争、いじめ、犯罪、競争。
人が人を殺し合い、蹴落とし合う世界。
この世なんてなんにもいいことなんてない。辛いことばかり。
なんでこんな世界に生まれちゃったのだろう。
呪文があって、唱えれば魔法が使えて、空が飛べるような世界がどうしてこの世にないのだろう。
もういやだ。いやだいやだこんな世界。
そのとき私はそう思っておりました。
けれど赤瀬川さんの本に出会って初めて、私は日常を「面白い」と感じるようになりました。
こんなに面白い世界があるんだ。
赤瀬川さんって、芸術家…?なんだ。
芸術…。芸術って、もっとふんぞり返ってて、やたらと「高尚」でわけわかんなくて、「わかってくれるやつだけわかっててくれればいい」って美術館の中でいばり散らしてるヤツだと思ってたけど(高校生の時の実感)、こんな芸術があるんだ。
芸術って、足元にもあるんだ!
足元に、こんな知らない面白い世界が在るんだ!
私もやってみたい。
その日から私の「芸術観」は大きく変わりました。
芸術を学ぶ高校に所属していたのですが、一般庶民的感覚の私にはどうにも自分とのとっかかりを見つけられなかった「芸術」というものを、初めて手につかんだ気がしました。
私の日常はまぶしく変わり、足元の世界…「エスムルブ」を描き始めるキッカケになりました。
赤瀬川さんの本は、「呪文」だったのです。
フツーの日々にも実は「魔法」があると。
それを唱えると、本当に魔法が起こって目の前のことが大きく変わってしまうと。
赤瀬川さんの本は私にとって偉大な魔法辞典でした。
それから時間が経っても、その想いは私の根底に在り続けました。
なんとなく本屋に入って見かけたら、そっと手に取ってコインと交換し、懐に温めておりました。
電車の中で読んではクスッと笑っておりました。
ものを考えるとき、文章を書くとき私の意識の根底には赤瀬川さんの文章がありました。
町を歩くとき、隠された魔法に目をこらすようになりました。
多くのものを失ってどん底に落ちた時も、それは底の方でじーっと眠って、そばにいてくれました。
気がつかないくらい私は赤瀬川さんの呪文に支えられておりました。
あれから。
赤瀬川さんの呪文で、私はいつのまにかアーティストになってました。
人生を変えてくれてありがとうございました。
赤瀬川原平さん。
貴方はわたしの たったひとりの 最も敬愛する「芸術家」です。
2014年10月16日 カテゴリー:日記 コメント:コメント:0
3 works 3 words展、搬入完了しました〜!
本日はいよいよ今週末より開催されますグループ展「3 works 3 words」の搬入日でした。
こちらは私、安井春菜と彫刻家の大塚美穂さん、陶作家の樫田奈津美さんとともに三者三様の作品をそれぞれの「言葉」を添えて発表致します展覧会となっております。
作品を台風直前の日に送ってちゃんとつくかヒヤヒヤものでした(汗)!
無事に展示し終えてきた会場はこんな感じにになってます。
今回、私は5点出品しておりまして、銅版画3点、ペン画2点となっております。
こちらはペン画の…、
砂岩の眠り姫!
アクリル越しに撮ったのでちょっと光っちゃってますね。
銅版画の方はエディションがありますので、お買い求めのかたはギャラリーの方にお申し付け下さいませ。
さらに今回は博多阪急さんでの展示で販売したポストカードセットと、先日ニューヨークから帰ってきたばかりのアートブック2種類も販売しております!
ポストカードは全12種類です!
大塚さん、樫田さんの作品も素敵な作品が展示されております!
さらにギャラリーのあります清澄白河は、おいしいものがたくさんあります。
ギャラリーから歩いて3〜5分のところにあるパン屋「カトレア」のパンはどれもおいしいですし、そばにある昔ながらの昭和レトロな商店街「のらくろ〜ド」には素敵な喫茶店がありました。
(これを描いたところですね。)
清澄白河と言えば東京都現代美術館もありますから、ぜひどうぞこちらにも足を伸ばしてみて下さい。
今回会期が2週間でございます。
私は、18日と、25日の土曜日に在廊しようかなあと思います(もしかしたら何かありましたら急遽来れなくなってしまうかもしれません…!その時はごめんなさい!)。
今回ご縁あってご一緒させていただいた大塚さん、樫田さんがとてもよい方々で今日はとても楽しかったです。
ではでは改めまして、10月18日より2週間…。
どうかよろしくお願い致します!
2014年10月18日(土)〜11月1日(土)
12:00~19:00(最終日17:00まで)
月曜休廊
SAKuRA GALLERY
大塚美穂 安井春菜 樫田奈津美 グループ展
「3 works 3words」
2014年10月4日 カテゴリー:日記 コメント:コメント:0
10月になりました。
とうとう10月です。
無事9月の乗り切ることが出来てほっとしました。
9月は一週間ちかく博多にいたので、帰ってきてから行く前は咲いていなかった曼珠沙華が咲いていたり、ふわっと金木犀の薫りが漂ってきたりしっかり秋の気配を感じてびっくりしました。
一週間でだいぶ季節って変わりますね。今年は秋がしっかり感じられて気持ちいいです。
さて、博多から帰ってきまして作品等いろいろ追加、公開出来ました。
ギャラリーの「アクアリウム・ビルディング2014は、博多の「クリエーターズフェア」のために描き下ろしました。
そこここに実はカヤンやヨーク、そしてあの少年がいたりします。
そして「アートブック」コーナーには2010年に描いた「薄荷」が公開出来ました。
こちらの作品は「さよなら カヤン。」と同時期に制作したもので、そもそもは2010年に「星の標本箱」のメンバーと参加したコミティアで合同誌のために描いたお話でした。
旅立ったばかりのカヤンと、とある小さな町はずれにある喫茶室「ムーンスター」の店主「ターゼさん」との出会いの話になっています。
「さよなら カヤン。」〜「薄荷」〜「エスムルブ紀行文3」と読んでみると自分でもなんか不思議な感じになります。
いつの間にこんな描いてたんだ…(笑)。
ナスパにもいろいろと物語があるのですが(エスムルブ紀行文」「エスムルブ紀行文2」など)、ページ数がベラボーすぎてホームページにアップ出来ておりません(汗)。いまはブックフェアで展示しているくらいしか公開方法がないのが…!
なんとかしたいです。
エスムルブ紀行文2はもしかしたら可能かもしれないのでいつか…!
実はカヤンやヨーク、そしてナスパやイナフエのお話はかなりたくさんの物語がありまして、なんとか具現化出来ないかなと試行錯誤しております。
ダイアリーにて更新している「真夜の旅人」も、こちらはカヤンとヨークの旅行記を書いている若いころのお話で、「薄荷」を描いた頃からなんとなく考えていた話がベースになっております。
来年のブックフェアの時に本としてまとめたいなと考えておりますが、いかがでしょうか…?
さて!今月は展覧会が決まりました!
清澄白河のSAKuRA GALLERYさんで10月18日から2週間です。
そちらは、今年描き貯めていた作品や、銅版画を展示と、博多阪急さんでも販売しましたポストカードも持って参ります。
まだこれからの予定も結構あるのですが、正式に決まり次第こちらでまたお知らせ致します。
少年、青年、老年期の姿が決まっているカヤンに引き換え、まだ老年期の姿を考えていなかったヨークなのですが、ぼんやりこんな姿がのお爺さんが見えて参りました。
いつか作品の中ではどんな姿になって現われるのでしょう…!?
2014年9月25日 カテゴリー:日記 コメント:コメント:0
お待たせしました!
無事、博多から帰還して参りました。
博多阪急百貨店8階で開催されておりました「クリエーターズフェア」に参加してまりました。
初めての九州で、初めての博多でしたが、もろもろこちらにて顛末を記録したいと思います。
旅の案内はこの二人(?)がしてくれます。
いつのまにかトランクに入れられてたカピバラのぬいぐるみの「カピー」です。
「やあよろしく!いつの間にかトランクに入り込んだカピバラその①。カピーだよ。」
「やあこんにちは。ぼくもいつの間にかトランクに入れられてたカピバラその②、カピーだよ。同じ名前なんだよね。
今回の旅の思い出について喋っていいって言われたんだ。短い間だけどよろしくね。
じゃあ早速、思い出開始!」
「これは博多に向かう新幹線で見た風景!」
「こん時ぼくらトランクの中でなんも見えなかった〜。」
「ここは博多駅の『博多口の出口』だっけ。」
「着いたその日はお天気晴れてたね。」
「あつい!と思ったけど、気温東京と同じくらいだったよ。」
「これが博多かあ〜。」
「ホテルの窓からゆっくり。
写真の右側、大きな建物の奥の方にあるのが博多阪急さんだったね。
ぼくらもようやくトランクから出れて気持ちよかった〜!」
「フェアの展覧会は明日からだったから、この日は会場の下見をして早めに就寝。」
「ちなみに、この東急ハンズの下の部分に『マイング』っていうおみやげとかスーパーとかいっぱい入ってるお店があって、そこ楽しかったんだ!」
「『クリエータズフェア』開催!
会場はこんなふうだったよ。」
「フェアの看板の写真や、チラシにもぼくらの持ち主さんがバッチリ写っちゃってた。」
「右上の灰色の作業着着てるやつね。」
「恥ずかしがってたね(笑)。」
「出した作品や品物は、
ポストカード12種類
アートブック3種類
銅版画、ペン画の原画8点。
売り場の形は日によってちょっと動かしたけど、こんなふうに机に並べて販売しました。」
「会期中はとてもたくさんのお客さんに様々なご感想をいただいて、持ち主さん大変恐縮してました。」
「博多の人はみんなとっても気さくで人懐っこい人が多かったね!」
「うん。」
会期の最中はこうやって『真夜の旅人』の実演制作もしてたんだよね。」
「うん!お陰でたくさんのひとが来てくれたし、いろいろお話する切っ掛けにもなったね!」
「それに『真夜の旅人』もすすんだしね!」
「7日間は本当にあっという間で、作品も何点かお譲り先が決まりました。これから発送しますので、もう少々お待ち下さいね!」
「4日目〜7日目は会場はこんな感じでした!」
「いろいろあったね〜。」
「うん、ぼくら見てるだけだったけど。
でも、なんか途中から持ち主さんの雰囲気が変わってきたよね。」
「うん、なんか、晴れ晴れしてた!」
「無事に終えることが出来るか心配で夜に目が冴えちゃった時もあったけど。」
「百貨店さんでの展示は初めてだったけれど、本当にいい勉強になったってホテルでにっきを書いてたね。」
「いろんな人が助けてくれた。」
「うん。」
「あっという間に終わってしまったね。」
「最後の日、阪急さんから出てきた時は、なんか『夢だったんじゃないか?』って思ったよ。
ほら、これあの時の夕日。」
「綺麗だったね。」
「うん。
あ。最後に、ぼくらの持ち主さんのにっきが出てきたよ。ちょっとみてみようよ。」
『… … …
この度出展させていただいて、
作品を買っていただきまして、
たくさんの出会いをいただいて、
本当にありがとうございました。
私は
この日を決して忘れません。
ここでいただいた一週間は私にとってかけがえのない一週間になりました。
ここで出会った方々へ
心からの感謝の気持ちを込めて申し上げたいと思います。
本当に、ありがとうございました。
またどこかでお目にかかれますことを、楽しみにしております。』
「ではではこれから、進んだ『真夜の旅人』を公開するね!」
「ここまで読んでくれてありがとう!
またどこかで出会うまで。
さようなら!」
2014年9月15日 カテゴリー:日記 コメント:コメント:0
インスタントカメラが最近とても来てます。愛おしいし、便利です。
旅に出る時は資料写真撮影用にデジタルカメラを持ち歩いているのですが、ここ最近インスタントカメラも持って行くようになりました。
理由はズバリ「選ばなくていいから」です。
デジタルカメラは何枚でも撮れるので、資料用にしようと思うと一回の旅行で軽く1000枚を超えて撮影してしまいます。そうすると後で紙に焼いてもらう時に選ぶのがものすごく大変だったのです。
その点、インスタントカメラは「一回勝負!」で27~36枚撮りなので、現像して焼いてもらえればそれで済んじゃうので大変楽で便利です。
それに、フィルムカメラのあの質感がまたたまらなくいい!
フィルムって何故あんなに「空気」まで撮れるのでしょう。写るのでしょう。う〜ん、デジカメの一眼とフィルムの一眼の写真を比べてみると本当にそう思います。
さて!
そんなインスタントカメラとデジカメの活躍する時がやって参りました。
今週9月17日〜22日まで、福岡県は博多阪急百貨店8階で「クリエーターズフェア」に参加して参ります。
こちら日本全国から様々な分野の作家さんが集うイベントなのですが、今回初めて参加させていただくことになりました。
初めての九州、初めての博多です!
博多…。
「水曜どうでしょう」大ファンの私としては一度は訪れてみたかった聖地です。(はかた号)
展覧会でドキドキですがいろいろ勉強して参りたいと思います!
また、今月末はTHE NY ART BOOK FAIR 2014もございます。
実は博多阪急さんの準備と同時並行でしたのでもうてんやわんやだったのですがなんとかなりました!
ニューヨークで作品たちによい出会いがあることを願っております。
ちょっとこのふたつの展覧会の準備が大変で「真夜の旅人」は博多から帰宅し次第の更新となってしまいました。
本当にごめんなさい!
ですが、バリバリ続きも描いておりますのでこちらでまた公開致します!
ではでは、明日から博多へ一週間、行って参ります!