2014年11月17日 カテゴリー:日記 コメント:コメント:0
おや?
と思った。
その人の鞄を持った時に。
私は外仕事に行く日が週に必ずあって、その度にその先で様々な先輩方にお世話になっている。
その鞄を持たせていただいた時もそういう日だった。
鞄はたぶんその先輩の通勤用の鞄で、いつも使われているものだった。
その先輩は男性なので鞄も男性用のあの四角くてちょっと長方形型のあんな感じだ。
たまたま荷物が多い時だったので私が先輩に渡そうと他の荷物と一緒にまとめてその鞄を手に取ったのだ。
そのとき。
何故だろう。
とてもその鞄が「美しい。」と思った。
その鞄がとても高級品であるとか、アンティークで使い込まれているとか、ブランドバッグだとか、そういうことではない。
何故だろうと考えた。
すると分かった。
ものすごく「その人」に似合うのだ。
簡素で、清潔感のある空気が、鞄の持ち手を取った時に伝わってきた。
とくに余計なものも入っていないスマートなフォルム。重み。
メッシュでカーキ色のカラー。
それが「その人」が携えると本当に同化するようにぶら下がっている。
それは本当に美しかった。
アイテムとは、本来そういうものではないだろうか。
ブランドもののバッグを下げている人はたくさん見かけるが、私は「あ。似合ってる。美しいな。」と思うことは残念ながらあまりない。
持ちたいものを持つのがそれは一番であると私は思う。
しかし「美しいか」という基準に立ったとき、やはり一番「いいな」と思うのはそれが本当にその人に似合うかどうかだと私は思う。
みんながつけているからとかトレンドだとか。
高いものを身につけてないとみんなに馬鹿にされるとか、安物を身に着けてると運がよくならないとか。
コロコロ変わる他者の思惑に乗せられるより、「似合う」「美しい」という唯一無二の価値観を持つこそが、一番その人が人生をたくましく生き延びることができるこつなのではないこと私は思う。
おそらくその先輩はそんなこと考えてその鞄を選んだのではないと思う。きっと機能的にもいいし一番実用的だったんだと思う。
でもその日私はそんなことを思いながらその鞄を提げた先輩の後ろ姿を見送っていた。
その姿は美しかった。
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