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「成長は順調だね ワトソンくん。」

ハト一家01

 

「例のハトのヒナ、成育は順調のようだよ。ワトソンくん。」

「うん?まだ君はハトのヒナの成長を観察してたのかい?事件はどうした?」

「もちろんやってるさ。だけどこう退屈な日が続くとねえ…。なにか他の事をして気を紛らわしたいのさ。

ところでワトソンくん。君は君の発言を訂正しなければならないよ。僕の見た所によると、ハトのヒナは2羽だ。」

「えっ。そうだったかい?おかしいなあ…。」

「ああ、僕の撮った写真がある。見たまえ。」

(ペラッ)

 

ハト一家02

 

「あ。本当だ。」

「この2羽、成長が非常に早い。

先週は巣から全く見えなかったのに、今や巣からはみ出ている部分が見えるくらいだ。

これは巣立ちも早いね。通常ハトは生まれてから巣立ちまで約30日前後だ。残念だ。」

「なんで君が残念なのさ。」

「僕の有益な、研究観察対象がひとつ減るからさ。あと…。そうだな。2、3週間くらいしかない。」

「君手帳につけてるのかい…。」

「こういうことがけっこう役立つんだよ。

それより今ヒナはちょうど食べ盛りだ。親鳥が甲斐甲斐しくヒナに餌をやっているんだよ。お陰で親鳥が巣から離れてヒナだけになっている時が多くなってきた。

ある意味、今が一番危険だ。」

「そうだったのか。それはちょっと警戒しないとな。」

「ふふふ。関心がないように見せかけて、君も結構あのハト一家を気にしている事を僕は知っているぞ。

おっと、そう慌てる事は無いだろう。君の挙動を見ていたらその事は明白だよ。

とにかく、あのハト一家がみんな無事旅立つまで僕はまだまだ観察してるつもりだよ。」

 

ハト一家03

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