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ポルトガルからのメール①

俺は英語辞書。ハンディタイプだ。

今から俺が見てきた俺の持ち主の話をするよ。退屈かもしれんが聞いてくれ。

 

俺はこの日記の描いてるヤツの中学校時代から一緒にいる。しかしこいつは昔っから英語がからっきしダメで実はテストで100点満点中29点という値をたたき出したヤロウだ。

ボロクソの英語のテストを握りしめてヤツはこう思った。

 

「私は外国に行かない。日本で暮らすから英語なんかいらない。」

 

と。

 

しかしどういう運命のいたずらかコイツはアーティストになった。とにかく「作家」になろうと思ってたそうなんだが、それがどういうわけかアートの世界が気に入っちまったんだな。

そしたらなんと必然的に海外に行くことになっちまったんだよな!

 

まったくざまあねえぜ。コイツは後悔したよ?「もっと中学校で英語真剣に勉強しとけばよかった(泣)。」と。

ニューヨークに行った時は飲み物が注文出来なくて苦しみ、作品の英訳が出来なくて苦しみ(そん時は俺とにらめっこさ。)、外国の展覧会サイトを見てもさっぱり書いてあることがわかりゃしないでやんの。

ホントに、俺が教えてやりてえよ…。

 

しかしそんな状況に陥って初めてヤツは奮い立って、図書館とかで英語の初歩の初歩のテキストを借りてきて勉強しはじめたんだ。

まあさすがに自分の望んだ仕事や自分を選んでくれたお客さんのためにも勉強しないとダメだと思ったんだなあ。

その甲斐あって少しはマトモに文章が読めるようになってきたんだ。(つってもそのレベルは中学生並なんだがな。)

 

そしてそれから時間が経ったある日。そうアレは今年の5月の下旬だったかな。

ある英語のメールがコイツのトコにやってきたんだ。

 

それも、ポルトガルから。

 

(つづく)

 

 

 

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