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「エスムルブ紀行文3」につきまして

 エスムルブ紀行文13

 

 

 YOUNG ARTIST’S BOOKS FAIR_8th。

 始まりまして4日経ちました。

 いかがでございますでしょうか。

 

 いつもいつもこの展示会は年初めの一番最初、1月にありましてとても緊張致します。

 大学1年生の頃から出続けているのでこれでもうかれこれ7年です。

 いつもこちらでは「アートブック」ということで物語の本を出させていただいております。

 お話を作ったり考えたりすることが好きなので、この展覧会は一番力が入る展覧会のひとつです。

 

 

 このたびこちらでは「エスムルブ紀行文3」という作品を出させていただきました。

 今回はこの作品ついて、そして、すこし個人的なことについて筆を執らせていただきたいとおもいます。

 

 

 この作品は、今まで10数年間以上描き続けている「エスムルブ」シリーズの一環です。

 

 2012年11月に個展をした際、お客様からあり難いことに「エスムルブの続きが読みたい。」と仰っていただけました。

 とても嬉しかったのですがその時私は、生まれ故郷南三陸町を襲った東日本大震災の大津波のショックがまだ抜け切れず、苦しい悶々とした日々を過ごしておりました。

 しかし、なんとかしてまた書きたい。

 本当に描きたいのはそれなんだ。

 と私は思っておりました。

 だから、なんとしてでも描きたかったのです。

 

 そんな時、浮かんできたのは昔、子どもだった頃。

 家族みんなで歌津へ帰省したときの思い出でした。

 

 夏の日差し。

 稲の薫り。

 蝉の声…。。

 兄弟や従姉達との冒険の日々。

 

 そんなものが浮かんできました。

 

 「めちゃくちゃになってもいい。

 とりあえずこの気持ちを形にしてみよう。」

 

 そう思い、「帰省」というテーマを掲げ、この物語を描きはじめたのは去年。2013年10月でした。

 

 この物語を描くことで、気付かされた点がいくつかありました。

 それは、家族のことでした。

 

 家族の人生。

 家族の思い出。

 自分が知らないだけで、そこにはとても濃厚な物語が秘められていることをこの作品を描きながら感じておりました。

 

 それがいつの間にか表れてしまったのがこの物語の影の主人公、ナスパの祖父カヤンです。

 最初はそうするつもりは全くなかったのですが、描き進めるうちに何故かそうなってしまいました。

 旅人として苦悩し、迷い、誰かと出会い家族になって、そして悩める後進たちを見守っていく。

 

 知らない間に、物語はそう導かれておりました。

 

 カヤンにはモデルがいます。

 それは、南三陸に住んでいた私の祖父です。

 

 いろんなところに連れて行ってくれた祖父は明るく、いつも前を向いて私たちを見守ってくれました。

 多くの苦労に見舞われながらも本当に強くて、家族や人をおもう人でした。

 性格こそかなり違えど、それはカヤンに色濃く反映されております。

 

 子どもの時こそ気付いていなかったのですが、私たちは祖父のその優しさに包まれて育ちました。

 昔から帰省する度にそれを感じ、そのことにどれだけ救われてきたか分かりません。

 私は「エスムルブ紀行文3」でカヤンに向き合う度にそう感じるようになりました。

 

 私は多分、自分が思っている以上に私の祖父のことが好きだったのかもしれません。

 

 この物語のテーマ「帰省」。

 帰省したときのほっとした気持ち。

 流れる時間のゆるやかな差異。

 子どもだった頃の思い出と、これから未来へ向かう充電期間。

 

 

 「エスムルブ紀行文3」は、まだまだ未熟な部分がたくさんある作品です。

 ですが、もっともっとこの作品を描き続けたい、そう思っております。

 

 今はもう死んでしまった人が生きていた証。

 薄皮一枚の生者の世界のうらに隠された広大な本当の世界。

 もっともっと深めて、ナスパや、カヤン。そしてイナフエを通じて、いろんな物語や世界を伝えていけたらなと思います。

 

 もし、店頭にお出でくださいましたら、どうぞそっと彼らの物語をひと覗きしていただけたらとても幸いです。

 

 最後までお読み下さり誠にありがとうございました。

 ブックフェアは26日まで開催されております。

 どうぞ、お越し下さいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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