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暮しの手帖と私

近頃ドラマが面白いですね。

真田丸、トットてれび、

そして朝の連続ドラマ小説、とと姉ちゃん。

 

いつもはそんなに熱心に観ないのですが、今回は最初から興味がありました。

 

それはこの物語が「暮らしの手帖」を創った大橋鎭子さんと花森安治さんをモチーフにしているからです。

 

「暮らしの手帖」。

 

本屋さんに行けば必ず見かけるこの雑誌には深い思い入れがあります。

 

今日はそんなお話です。

 

 

私と暮しの手帖の出会いは子供の頃でした。

母がたまに買って来ては料理の写真を眺めつつ、「これが美味しそうだ。」とか「これ作ってみようかな。」と言って読んでいるのを端からみておりました。

その時は(こんなこと言うのも大変失礼なのですが)おばさんの雑誌だと思って全然興味がありませんでした。

 

自分から求めるようになったのは20代前半。

心身のバランスを崩した私はその頃体調の悪い時期がありました。

 

体調を整えるにはまず規則正しい暮らしから。

どの助言にもその言葉が並んでおり、藁にもすがる気持ちでその言葉を実践しようとしました。

ですが、どうしたら?

 

そのとき浮かんで来たのが「暮しの手帖」でした。

 

しっかり地に足付けて、長い目で見てし続ける事が出来る、当たり前の、でも丁寧な暮らしの哲学。そして実践のやりかた。

それを学ぶのに真っ先に浮かんで来たのがこの「暮しの手帖」でした。

 

 

そして暮しの手帖はさらに私に大きなものをもたらしてくれます。

 

 

それは当時の編集長だった「松浦弥太郎さん」でした。

 

 

彼の文章を誌面で読むにつれ「こんなていねいな暮らしの哲学を持っている人は一体どんな人なんだろう。」という思いが募り、私は彼の本の殆どを乱読しました。

そして分かった事。

 

彼は高校をとある理由で辞め、ドロップアウトしたことがあったこと。

本が好きで好きで、それを伝うように人生が形作られていたこと。

たくさんの旅をしていること。

とても気持ちのいい文章を書かれること。

 

その人生は「暮しの手帖」という生活雑誌の内容からは想像もできないようなすごい場面もありました。

でも、他人にはない人生経験の豊富さからあのていねいな暮らしの哲学があるのかと思うと大変納得できました。

 

そして、そのとき作家という先行きの見えない生活に漕ぎ出し、不安と孤独感でいっぱいの私は初めて同じような人生を歩んでいる先達を見つけたような気持ちになりました。

社会から弾き飛ばされ、孤独感の中に居ても、それでも生き抜ける、やがて大きく成長出来るという姿を示してくれたこと。彼の存在はあの時の私には一筋の光でした。

 

 

 

私は暮しの手帖と、松浦弥太郎さんの本に最も心を支えられ、そして学びをいただいております。

そしてそれは現在進行形で続いています。

 

松浦さんの本を読んでいると、自然と他の方とも繋がって来きます。

そこで知ったのが、暮しの手帖を創られた花森安治さんでした。

 

花森さんのイラストや文章は「暮しの手帖」に今でも出て来ます。

でもそれが誰が描いたのか最初はわかりませんでした。

 

それがこの卓越した編集者であり、イラストレーターでもあり、文筆家でもあった花森安治さんが書かれ、その人が「暮しの手帖」を創ったひとりだと知った時、もっと花森さんに触れてみたいと思ったのです。

 

以来「暮らしの眼鏡」という本を買い、折に触れて読んでおりました。

そしてこの度花森さんたちがモチーフになってドラマになるなんて…。

 

花森さんについてはまだまだ知りたいことがたくさんです。

もちろん、共に暮しの手帖を作って下さった大橋鎭子さんのことも…。

 

 

私は、浮き世に漂うすぐ移り変わってしまうような軽い暮らしよりも、その人を磨き上げるような丁寧な、何でもないけれど変わらない暮らしの方が好きです。

変わる所は変わるべきですが、暮らしというのは「故郷」のようなものですからそこが安寧な休息の場所であって欲しいと思います。

 

それはすぐに作り上げられるものではありません。

 

長い時をかけて、ゆっくりと玉を磨き上げるように、だんだん出来て来るものなんじゃないでしょうか。

 

 

私は「暮しの手帖」の最初のページの花森さんの文章が大好きです。

 

その文章は 今でも暮しの手帖の第1ページに刻まれております。

是非、直にお確かめになられてください。

 

その言葉の通り、わたしの暮らし方はいつの間にか、朝焼けが訪れたかのように変わってしまったのですから。

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